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お花は人を前向きにする、小さな“呼吸”のような存在
部屋に生花があると、扉を開けた瞬間に空気がやわらぎ、香りとみずみずしさが心を整えてくれます。忙しい毎日のなかで、花は私たちの気持ちを“マイナスからプラスへ”そっと引き上げてくれる存在。だからこそ、お花と長く上手につき合う知恵があると、暮らしはもっと豊かになります。
こちらでは、「レカンフラワー」と「フラワーアレンジメント」の違いを、初心者のみなさん向けにやさしく解説します。
すでにどちらかを学んでいる方も、これから始める方も、「自分はどこから、どう学ぶのが良いか」を判断できるようになります。
レカンフラワーとフラワーアレンジメントは“目的”が違う
まず大枠のイメージから。
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フラワーアレンジメント :生花(または造花・プリザなど)を“今ここ”で最も美しく見せるための構成。花材・器・空間の関係性を整え、形・リズム・配色をデザインします。完成品は「生きた花」を鑑賞する前提なので、時間の経過とともに変化します。
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レカンフラワー :生花の美しい瞬間を乾燥・密封し、“長期保存できるアート”に仕立てる技法。色と形を最大限キープするための下処理・乾燥・密封・補強など“保存加工の工学”がベースにあり、そのうえでフラワーデザインの感性を掛け合わせます。
どちらも「フラワーデザイン」という共通の大きな枠に属しますが、アレンジは“瞬間の演出”寄り、レカンは“記憶の定着”寄りと覚えると理解が進みます。
フラワーアレンジメントの基本:花・器・空間の“関係性”を整える
古来の日本には生け花、欧州にはフラワーアレンジメントがあり、どちらも花の形・線・余白を意識しながら美を立ち上げる芸術です。コップやワインボトルに花を挿す行為もアレンジの入口ですが、レッスンでは次のような「見せ方のルール」を学びます。
アレンジで大切な3ポイント
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ライン(線):茎や枝の流れで“動き”と“高さ”をつくる
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マス(塊):主要花材で“焦点”と“量感”をつくる
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スペース(余白):詰め過ぎず、呼吸できる空間を残す
ここへ色彩(配色の比率・トーン)や器との相性(素材・口径・重心)を重ね、TPO(季節・贈り先・設置環境)を配慮して仕上げます。“いま最高に美しい”状態で魅せるのがゴールです。
レカンフラワーの基本:乾燥・密封・補強という“保存の技術”
一方レカンは、美を“長く”楽しむための技術が土台にあります。代表的な流れは次の通り。
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花選びと下処理
品種・開花度・水分量を見極め、色変化が起こりやすい花には「黄花処理・赤花処理・補色処理」などを検討。壊れやすい花はコーティングで補強します。 -
乾燥
ジュエルサンド(リアル乾燥)、シリカゲル、サンドイッチドライ(押し花)、常温サンドドライ、リキッド乾燥などから選択。花の性質に合わせて使い分けます。 -
密封・デザイン
ガラスフレームやドームに密封し、退色・湿気・ほこりから守ります。ここでフラワーデザインの発想(焦点・リズム・バランス)が活きます。 -
仕上げと保管
直射日光・高温多湿を避け、長期鑑賞に適した環境を整えます。
ポイントは、「保存の工学」+「デザインの美学」。どちらが欠けても、長く満足できる作品にはなりません。
目的別の違い早見表
観点 | フラワーアレンジメント | レカンフラワー |
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目的 | 今の美しさを魅せる | 美しい瞬間を保存する |
花材の状態 | 生花(変化を楽しむ) | 乾燥・密封(変化を抑える) |
技術の軸 | 造形・配色・器の相性 | 下処理・乾燥・密封+造形 |
向くシーン | 季節の演出・贈答・装花 | 記念日の保存・ブーケ記念 |
作品寿命 | 数日~数週間 | 数年単位で鑑賞可能 |
レッスン生が迷いやすいポイントQ&A
Q1:先に何を学ぶべき?
A:どちらからでもOKです。ただし将来ブーケ保存や作品販売を視野に入れるなら、アレンジの“見せ方”の基礎と、**レカンの“保存技術”**の両輪を持つほど表現の幅が広がります。
Q2:同じデザインでも仕上がりは変わる?
A:大きく変わります。アレンジはみずみずしさ、レカンは色・形の“長期の見え方”が勝負。乾燥前提の花選び・開花度の見極めがレカンでは特に重要です。
Q3:ブーケはどちらの領域?
A:制作はアレンジの領域、保存加工はレカンの領域です。ブーケづくりを経験しておくと、レカンでの配置やストーリー設計がぐっと良くなります。
アトリエ由花の指導方針:技術も感性も“現場目線”で
アトリエ由花では、国家資格フラワー装飾1級技能士である兵藤由花が、保存の工学とデザインの美学を両立させたカリキュラムで指導します。テキストに載りにくいけれど現場で必須のコツを、花の特性・用途・目的に合わせて噛み砕いてお伝えします。
少人数制だから“見て、直して、伸びる”
作業の指先・角度・押さえ方など、細部のクセにまで目を配り、的確にフィードバック。結果として、レカンフラワーコンテスト入賞者を多数輩出しています(挑戦1~2年目での受賞例も多いのが当校の特徴)。
コースの流れ:基礎→応用→作品力
ブルジョンインストラクターコース(基礎)
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綺麗な花の作り方(下処理・乾燥の選択・色管理)
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密封方法(フレーム・ドーム・気密の考え方)
まずは“保存の工学”をしっかり体に入れます。
フロレゾンインストラクターコース(応用)
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デザイン統合(焦点・リズム・余白・配色)
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テーマ設計(物語性、写真・小物との組み合わせ)
保存技術のうえにアレンジの美学を重ね、作品力を磨きます。
当校だけの強み:生花ブーケ制作×レカン保存を横断で学べる
レカンだけ学ぶと、ブーケの構造・重心・ワイヤリングなど“アレンジの体幹”が弱くなりがち。逆にアレンジだけだと、記念を長く残す保存の視点が不足します。アトリエ由花では両方の橋を渡れるカリキュラムを用意しています。
体験できる主なブーケ内容
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ブーケの組立手順と花材計画
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ラウンドブーケ/キャスケードブーケの作り方
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ワイヤリング・テーピングの基本と時短術
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レカン前提の乾燥・下処理の設計(宿題で自宅乾燥→次回講評)
初回ブーケでは、レカンにした時に“可愛く見える花材”を厳選。帰宅後に実際の乾燥~密封まで体験し、**“保存まで含めた一連のものづくり”**を学びます。
受講生の声:指摘してくれるから、伸びる
「以前の先生は何を作っても“いいよ”で、嬉しい反面、どこを直せば上手くなるのか分からずモヤモヤしていました。由花先生はやさしく、でも的確に修正点を教えてくれて、毎回“伸びポイント”が明確。花材も新鮮で、知らない品種に触れられるのが楽しみです」(Mさん)
“褒めるだけ”では作品は伸びません。やさしいけれど具体的に直す――それがアトリエ由花のスタイルです。
初心者がつまずきやすい3つの壁と、その越え方
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花選びの不安
→ レカンに向く/向かない、色変化しやすい花はリスト化して都度確認。最初は講師推奨の花材から。 -
工程の多さ
→ 乾燥・密封は手順表で迷子を防ぐ。作業台の“動線”を決め、道具の定位置を作ると時短。 -
仕上げの詰め
→ 5分離れて見る、スマホで俯瞰写真チェック、第三者に“伝わるか”で微調整。
小さな改善を積むほど、作品は必ず強く、美しくなります。
よくある質問
レカンフラワーは初心者でもできますか?
はい。正しい下処理と乾燥を学べば再現性が高い技法です。まずは小ぶりな花で成功体験を。
ブーケ保存はどのタイミングが良い?
できるだけ早く。開花が進むほど乾燥後の形・色管理が難しくなります。受取後の当日~翌日が理想。
フラワーアレンジメントの経験は必須?
必須ではありませんが、あるほど仕上がりの完成度が上がるのは事実。当校は両輪で学べます。
まとめ:いまを飾る力と、思い出を残す力
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フラワーアレンジメントは「いま、最も美しく見せる」力。
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レカンフラワーは「美しい瞬間を、長く楽しむ」力。
どちらも正解。違いを知り、目的に合わせて学ぶことが上達の近道です。
アトリエ由花は、少人数制できめ細かく、技術と感性の両方を一歩ずつ積み上げます。
「ブーケ制作も保存もできる自分になりたい」「作品で誰かを喜ばせたい」――その気持ちがあれば十分。次はあなたの番です。花は、置いた瞬間に空間の表情を変え、人の表情まで変えます。
いまを飾る力と思い出を残す力。両方を使い分けられると、花の世界は何倍も楽しくなります。一緒に、あなたの“花の言語”を増やしていきましょう。